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コンサル導入から2ヶ月でBtoB商材を成功に導いた総合素材メーカー

創業から100年を超える歴史を持つ旭化成株式会社様は、マテリアル・住宅・ヘルスケアの3つの領域で幅広い事業を展開する総合メーカーです。
今回ご依頼いただいたモビリティ&インダストリアル事業では主に自動車関連製品や工業用途の素材を展開しており、樹脂成形機用洗浄剤「アサクリン」は製造現場の生産性向上、環境負荷の低減に大きく貢献されています。
旭化成様では各事業部がそれぞれ独自にウェブ施策を企画・実行できる体制をとっており、主体性を重んじる文化が根付いているのが特徴です。
Google広告においても自ら手を動かして取り組み、実践を通じて学びを深めていこうという方針のもと内製化をご決定されましたが、設定の複雑さや運用の専門性の高さから限界を感じられるようになりました。
外部に広告運用の委託もご検討されましたが、ノウハウを社内に蓄積したいという想いからコンサルティング型の支援をお探しでした。
そこで弊社ではお客様ご自身で効果的に広告を運用できるように、コンサルティング契約という形でもご支援を提供しています。
さて、本インタビューでは旭化成株式会社の杉浦様にお話を伺いました。
「独自に運用を始めた広告のパフォーマンスを高めたい」
「社内でPDCAを自走できる体制を整えたい」
とお考えの方はぜひご参考ください。
お客様の声
今回の取り組み全体について、杉浦様にインタビューしました。

インタビューしたお客様
旭化成株式会社 杉浦様
1. 取り組み前の課題とご依頼の経緯
自分たちで手を動かしながらGoogle広告に挑戦
現在私が所属しているのは、マテリアル領域マーケティング総部デジタルマーケティング推進室というところで、マーケティングの文脈でプラスチック系の事業部全体を統合して支援する部署になっています。
年初の組織再編の際により広範な「マテリアル領域」を扱う組織に再編され、その中のマーケティングソリューションチームとして従来のモビリティ領域に限らず、プラスチック系全体を統合して支援する体制になりました。
各事業部に配置されている営業担当がカバーしきれないマーケティングの視点を補完する役割を担っており、BtoB企業にありがちなマーケティングの遅れやリソース不足といった課題に対して、戦略設計からチャネル選定、展示会支援まで幅広くサポートしています。
今回はウェブサイトを有効に活用する施策の一環として、Google広告に取り組もうという流れになりました。
当社では各事業部がそれぞれ予算を持ち、ウェブサイトの運用も個別におこなっています。
事業部ごとの戦略やリソースに応じた柔軟な運用が求められ、段階的に施策を進めながら成果を見極め、着実に改善を重ねていくアプローチが重要となります。
Google広告に関しても社内に十分な知見があるとは言えない状況でしたが、まずは自分たちで手を動かしてみようというスタンスで取り組むことにしました。
設定が思った以上に複雑だった
実際にGoogle広告を自分で運用してまず感じたのは、「とにかく設定項目が多く、自力でやるにはハードルが高い」ということでした。
- キャンペーン目的の選択(販売促進、見込み顧客獲得など)
- 入札戦略の設定(コンバージョン数の最大化、目標CPAなど)
- マッチタイプの選択(インテントマッチ・フレーズ一致・完全一致)
- 地域や時間帯の配信設定
- 除外キーワード・除外プレースメントの設定
- コンバージョントラッキング環境の構築
- 見出し・説明文・パス・広告アセットの最適化
- 広告審査やポリシー違反への対応
運用代行会社が多く存在する理由も実際に触れてみて初めて実感できました。
最初はGoogle広告公式のヘルプやガイドラインを読みながら進めていたのですが、果たして正しく設定できているのかという不安を感じながら進めていました。
管理画面の構造が複雑で、文章ベースの説明だと照らし合わせるのも難しかったです。
情報収集の手段としては、ウェブ記事・YouTube動画・ChatGPTのような生成AIも活用しながら、なんとか理解を深めようと試行錯誤を重ねていました。
2. コンサルで現状を見直し、効果改善の土台を再構築
媒体の推奨が必ずしも効果的とは限らない
コンサルティングで得た一番の気付きはやはりキャンペーンを構築する上での設定部分です。
ターゲティングや掲載範囲を指定する細かい設定ひとつで結果が大きく変わってしまうため、正しく設定できるようにすることが大前提だと感じました。
キーワード選定においては、右も左も分からない状態で設定していたのですが、実際にユーザーが検索しているワードとこちらが狙っている語句との間にズレが生じてしまっており、効果的な配信ができていない状態でした。
約1ヶ月のクリック数上位キーワード | |
---|---|
見直し前 | black mold removal :黒カビの除去 asaclean:アサクリン(洗浄剤ブランド名) how to get rid of mould on walls permanently:壁のカビを永久に取り除く方法 additive manufacturing injection molding:付加製造射出成形 how to get rid of black mold:黒カビを取り除く方法 |
見直し後 | asaclean:アサクリン(洗浄剤ブランド名) asaclean reinigungsgranulat:アサクリン 洗浄ペレット asaclean u:アサクリン U injection moulding machine:射出成形機 how to remove mold aiza:カビ(または金型)の取り除き方 |
今回のキーワードにおける最大の問題点は、法人向けの商材にも関わらず、一般ユーザーからの流入が多かったことです。
Google広告側から提示されたキーワードをそのまま登録して、掲載範囲の広いインテントマッチで配信していたため、意図していない検索ワード(例:家庭用の黒カビ除去や壁の清掃方法に関するキーワード)で広告が表示され、多くの無駄なクリックが発生していました。
見直し後は、製品名や実際の顧客ニーズに即したキーワードに絞り込むことで、流入の質が明確に改善されました。
キーワード設定の見直しポイント
- 問い合わせや資料請求など新規リードに繋がる語句なのか、自社の商品やサービスと直接関係のないキーワードが混在していないかを精査
- 地域名と用途、属性の組み合わせとマッチタイプ(インテントマッチ・フレーズ一致・完全一致)の使い分けで検索ボリュームと精度のバランスを最適化
今回のコンサルティングで媒体側の推奨設定を鵜呑みにせず、自社に合った運用を見極める視点が得られたことは有意義な学びとなりました。
Google広告の推奨が必ずしも正解ではなく、推奨される設定をそのまま使うことで逆に目的とずれたユーザーを集めてしまうリスクがあることを改めて認識するきっかけとなりました。
除外キーワード・広告文やパスなど細かい設定を見直すことで2~3倍のリード獲得が可能になり、成果が大きく変わってくることを実感しました。
「できているつもり」の落とし穴に気づいた
コンバージョンの計測についても最初は設定できているつもりだったのですが、実は正しく動作しておらず、コンバージョンが計測できていない状態でした。
Google広告はキーワードや入札戦略など表面的にはシステムチックに見える部分が多いですが、成果に直結するコンバージョン計測ではテクニカルな対応が求められると感じました。
タグをどのように埋め込むか、どのページにどのように紐づけるか、正しく発火しているかどうかを検証する作業など、知識と経験がないと判断が難しい部分が多く、自分たちだけでは見落としてしまっていたと思います。
特にコンバージョンタグは見落としやすい領域だったので、第三者の専門家の視点からの気付きを得ることができました。
コンバージョン計測のポイント
- コンバージョンタグは「見た目上は設置できていても計測されていない」という状態が多く、発火条件やページとの紐づけ方に細かな知識が求められる
- Googleタグマネージャー(GTM)によるイベント設定や媒体ごとのタグ設置など、成果につながる計測環境の整備にはテクニカルな知見が不可欠
ランディングページについての学び
今回は広告用のランディングページを準備したパターンとトップページに直接流入させるパターンの2通りを試してみたのですが、意外にもトップページに誘導したほうが最終的なコンバージョンにつながるケースが多かったです。
自分としてはランディングページのほうが効果的なのではと見込んでいたのですが、ユーザー側からはいかにも広告っぽい雰囲気が警戒されるケースがあるのかもしれません。
今回はランディングページの改善提案についても、御社側でいくつかの競合他社の事例やコンテンツの構成例をご提示いただいたことで、どの程度の粒度で書くべきか、どのように訴求すればユーザーに届くのか、といった点が参考になりました。
遷移先をABテストで効果検証した成功事例
- 広告専用のページよりもトップページに遷移させたほうがユーザーの警戒心を和らげ、結果的にコンバージョン率(CVR)が高まる傾向があった
- 他社事例をもとに構成や表現の粒度を調整することで、事業部との連携時に説得力のあるコンテンツ設計が可能になった
私たちは事業部から情報提供を受けながら、協力してコンテンツを制作していく体制になっているため、他社の事例をベースに方向性を説明できると社内でも説得力が増します。
運用ノウハウは手札のひとつ
アサクリンでの配信をきっかけに、社内での広告運用体制を少しずつ整えつつある状況ですが、例えばキーワードの調整についても、実際の検索語句をもとに定期的に確認・見直しをおこなう習慣が社内に根付き始めています。
広告配信だけでなく、ランディングページの構成や訴求の工夫といったウェブサイト側の改善にも視野を広げ、広告から成果までを一貫して最適化する基盤が少しずつ構築されています。
今回のアサクリンは、用途や対象が比較的明確なBtoB向けの洗浄剤だったため、初めての広告運用として取り組みやすい製品でしたが、私たちの役割は各事業部を横断的に支援する立場であり、広告運用もあくまで全体業務の一部にすぎません。
今後はGoogle広告をはじめとした運用ノウハウを「手札のひとつ」として蓄積しながら、他事業部への提案や支援にも応用できるようにしていく予定です。
広告運用の全体像や基本的な考え方を掴めるように
自力で試行錯誤を繰り返す中で、広告運用の全体像や基本的な考え方は掴めるようになり、実際に手を動かしたことで知識が定着し、外部に任せた場合でもサービス内容や成果を理解・評価できる視点が身についたのは大きな収穫です。
社内では他事業部が広告運用を外部に任せているケースもあるのですが、成果の正当性や運用内容の良し悪しを判断できる人が少ないという課題もあるため、自ら運用を経験したことで評価軸を社内に持ち込めた点はプラスだったと思っています。
一方で運用のクオリティという面では、やはり独学では限界があるとも感じましたし、特に改善施策を講じる際のスピード感や効果検証の観点で本当に最適な打ち手が取れているのか分からない不安がありました。
運用会社に任せるという選択肢もありましたが、私たちはあくまで社内に広告運用のノウハウを蓄積して、将来的には他の事業部の支援にも繋げていける体制を築きたいと考えており、コンサルティングを探すことに決めました。
多くの企業は運用代行を前提としており「自分たちで学びながら実行したい」という私たちのニーズに合う支援が少ない中、御社のサービス内容は最も適した選択肢でした。
初回の問い合わせ以降、対応のスピードや丁寧さも印象的で、質問に対しても曖昧な回答ではなく理論的かつ具体的に説明いただけたことが、スムーズな社内の意思決定に繋がりました。
実際に依頼してからもGoogle広告の公式見解を尊重しつつ、現場のノウハウに基づいた実践的なアドバイスをもらえたことで、迷いなく前に進むことができたと感じています。
今後も他媒体の展開や運用体制の構築において、ご相談させていただければと思っています。
3. 今後の課題
製品の特性を意識して広告を拡大したい
今後は「アサクリン」だけでなく、より用途の幅が広い別製品「エラストマー」などにも広告展開を広げていく予定です。
製品ごとにターゲット層や活用シーンが大きく異なるため、今後は広告の打ち出し方やキーワード設計もより柔軟かつ精緻に組み立てていく必要があります。
例えばエラストマーはアサクリンのような洗浄剤とは異なり、素材としてプラスチックに混ぜて性能を高める添加剤として使われます。
対象業界も電子材料・自動車・医療など多岐に渡り、それぞれで訴求ポイントが異なるため、用途別・業界別にキャンペーンを出し分けるような対応が求められてきます。
- 今後はターゲット層や活用シーンの異なる他の製品にも広告展開をしていきたい
- 対応業界(電子材料・自動車・医療)ごとにキャンペーンの出し分けなどが求められる
事業拡大に伴う運用体制の強化
広告展開の対象が広がっていくにつれ、対応すべき運用工数も比例して増えていくと思います。
現時点ではコンサルティングの支援を受けながら運用を進めていますが、今後さらに事業部の支援対象が拡大する中で、効率的に支援体制をスケールさせる仕組みづくりも重要な課題になってきています。
Google広告に限らず他の媒体への展開も視野に入れており、今後は製品やターゲットの特性に応じて、最適なチャネルを選定していく必要があると感じています。
▼旭化成様のサービスサイト「アサクリン」
例えば、ターゲットが明確な製品であれば、検索広告よりも展示会や業界向けのメルマガのほうが有効なケースもありますし、逆に不特定多数にアプローチしたい製品であれば、Google広告やLinkedInといった媒体が向いている場合もあります。
- ターゲットが明確な場合:展示会や業界向けのメルマガ
- 幅広い層にリーチしたい場合:Google広告やLinkedInなどの媒体
今回はGoogle広告の運用経験を積んだことで、媒体選定の妥当性や施策選択の根拠といったチャネル設計の視点を持てるようになったのは今後に活きる大きな前進となりました。
今後はこうした判断を自分たちでもおこないながら、より高精度なマーケティング戦略を組み立てていくことが目標です。
最後に
お話ありがとうございました。
今回は「自社でGoogle広告運用に取り組みながらより精度の高い配信を実現したい」というご相談をいただき、弊社にてコンサルティングという形でサポートさせていただきました。
検索キーワードの見直しだけでなく、広告文やURLパスにおける法人向け訴求の強化、個人ユーザーからのクリックを回避するための施策など、アサクリンという商材の特性に即した改善を積み重ねていく中でターゲット層とのマッチング精度も向上したと感じております。
今後の事業部支援の広がりや他媒体への展開についても引き続きご一緒できることを楽しみにしております。
review
現在生成AIの進化により、広告運用を自社でおこなうことが以前よりも手軽になってきました。しかし、広告は配信して終わりではなく、成果を上げるためには戦略的な設計やデータ分析の視点が不可欠です。
「広告の効果を上げたいが、どの数値を見て改善すればよいのか分からない」「自社で運用しているものの、やり方が正しいのか判断できない」といったお悩みを抱えつつも、コスト面やコントロール性を考慮して自社での運用を続けたいとお考えの方も多いと思います。
そうした方々をサポートするため、私たちは運用を全面的にお任せいただく「代行型」だけでなく、必要なタイミングで支援する「伴走型」のサービスもご相談内容に応じて柔軟に対応しております。
コンサルティングを通じて広告運用の状況を客観的に整理することで、社内では気付きにくかった課題や改善の糸口が見えてくるケースも少なくありません。広告の効果を上げたい、自社での改善に限界を感じているという方は、課題点を突き詰めるところからお手伝いさせていただきますので、ぜひ一度弊社にご相談ください。
旭化成株式会社:https://www.asahi-kasei.com/jp/
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