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リスティング広告とSEOの違いとは?それぞれのメリットや併用について解説

リスティング広告とSEOの違いとは?それぞれのメリットや併用について解説
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※このページは2025年7月23日に更新されました。
中釜啓太

この記事を書いた人株式会社ユニアド 代表取締役
中釜 啓太

「リスティング広告とSEOの違いを調べている」
「リスティングとSEOは併用したほうがよい?」

この記事はそのような方向けに書いています。

こんにちは、社長兼マーケターの中釜です。

運用型広告に携わり13年になりますが、リスティング広告とSEOの違いについて調べている人が多かったので記事にしました。

結論から言うと、リスティング広告とSEOの違いは以下になります。

【リスティング広告とSEOの違い】

  • リスティング広告:キーワードが検索された際に表示させる広告
  • SEO:ウェブサイトを最適化することで自然検索で上位掲載を狙う施策

リスティング広告とSEOは似ているようで性質が全く異なる施策であり、それぞれ異なる強みとリスクを持っています。

リスティング広告は広告費を支払えば上位に表示されるという即効性の高さが特徴ですが、クリック料金が発生することに加え、運用の工夫や知識なしには成果が出にくいというデメリットがあります。

一方SEO対策にて上位掲載されればユーザーの信頼度が高まり、クリック料金も払わずに流入を増やすことができますが、「AI Overview」の影響によるウェブサイトへの流入減少やアルゴリズムアップデートの影響を受けやすいという不安定な一面もあります。

SEOで取り組むコンテンツの充実は、リスティング広告のランディングページ改善や品質スコアの向上にも寄与するため、両者を併用することで相乗効果を得られるケースも多く存在します。

本記事では、SEOとリスティング広告の仕組み、特徴、メリット・デメリットの比較を分かりやすく解説しています。

どちらをおこなうべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ピンポイントで知りたい方のために目次を記載していますので、見たい項目をクリックすると便利です。

それでは解説していきます。

リスティング広告とは

リスティング広告とは、Googleなどの検索結果の上部に掲載できる広告のことです。

Google広告、リスティング広告の掲載例のキャプチャ

特定の検索語句に対して連動した広告を表示させることができるため、ウェブ広告の中で最も費用対効果の高い広告のひとつです。

SEOとは

SEOとは、「Search Engine Optimization」の略でGoogleなどの検索結果画面の上位に表示させるための施策のことです。

Google広告、SEOの掲載例のキャプチャ

上位に表示をさせることで、自社サイトへのアクセスが増加し、自社の認知拡大をすることができます。

リスティング広告とSEOの違いについて

リスティング広告とSEOの違いを比較した表が以下になります。

項目 リスティング広告 SEO(自然検索)
即効性 ◯:高い 低い
クリック料金 有料 ◯:無料
クリック率 全体的に低い ◯:上位表示されると高い
文言・リンク先の指定 ◯:ほぼ自由に設定できる できない

上記の違いについて解説していきます。

1. 即効性

リスティング広告とSEOの大きな違いの1つは即効性です。

最短即日で配信を開始し、集客を増やすことが可能なリスティング広告と比べて、SEOはウェブサイトの改善をおこない、自然検索における掲載順位を上げるための施策です。

今すぐに大きく集客を増やしたい場合にはSEOよりもリスティング広告を配信することをおすすめします。

【リスティング広告とSEOの即効性における違い】

  • リスティング広告は最短即日で配信できる
  • SEO対策には即効性がない

2. クリック料金

費用面の違いとしては、まずクリック料金の有無が挙げられます。

リスティング広告においてクリックされる度に広告費が発生しますが、自然検索はクリックにされても費用はかかりません。

SEO対策のために外部委託する場合や社内リソースとしての費用は別途必要になります。

【リスティング広告とSEOのクリック料金における違い】

  • リスティング広告はクリックされるたびに課金される
  • SEOはクリックされても費用がかからない

3. クリック率

リスティング広告のクリック率は全体として低く、SEOで上位掲載された場合のクリック率は高くなります。

リスティング広告が表示されてもユーザーは広告を忌避する傾向があり、SEOによって検索上位に表示されたコンテンツに対しては、クリックに繋がりやすいためです。

リスティング広告とSEOのクリック率を比較した表が以下になります。

掲載順位 リスティング広告 Google自然検索
1位 18.9% 34.2%
2位 8.8% 17.1%
3位 6.3% 11.4%
4位 5.1% 8.1%
5位 4.5% 7.4%
6~10位 2.4% 3.6%

(参照:Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid

以上は海外のデータで、日本におけるリスティング広告の平均クリック率は5~10%と言われていますが、SEOの方が圧倒的にクリック率が高いことが分かるかと思います。

4. 文言・リンク先の指定

SEO対策においては掲載上位を狙うことはできますが、どのページを掲載するか指定することはできません。

反対にリスティング広告においては、広告文などの文言だけでなくリンク先URLも指定できるため、例えば広告用のランディングページを別途制作して設定したり、必要に応じてABテストをおこなうことでリンク先ごとに効果を検証することも可能です。

【文言・リンク先の指定】

  • SEOでどのページを掲載するか指定することはできない
  • リスティング広告は文言やリンク先を指定することができ、効果検証も可能

リスティング広告のメリット・デメリット

続いてリスティング広告のメリット・デメリットについてそれぞれ解説していきます。

メリット①:即効性が高い

リスティング広告は最短即日で配信することができるため、即効性がある点が大きなメリットと言えます。

イベントやキャンペーンに向けてスポットで集客をおこないたい場合にも対応することができ、反対に急な休業日や配信停止もすぐに反映することができます。

【リスティング広告の即効性】

  • 最短即日で配信することができる
  • スポットで集客したい場合にも対応可能

メリット②:上位掲載できる

リスティング広告では、広告費を大きくかければその分上位に表示される確率を上げることができます。

掲載順位決定の仕組みの参考として、以下のように算出される「広告ランク」の高い順に掲載されると考えることができます。

【参考となる計算式】

検索順位の参考となる計算式

上記の要素以外にも外的要因などを加味して最終的な掲載順位が決定されますが、広告費(入札単価)を上げればその分上位掲載を狙いやすいため、SEOと比べて掲載順位をコントロールしやすいのが特徴です。

検索連動型広告については以下の記事でより詳しく解説しています。
» 検索連動型広告とは?今さら聞けない基礎知識を分かりやすく解説

デメリット①:効果を出すにはノウハウが必要

リスティング広告は管理画面から簡単に変更を加えることができますが、設定を使いこなし最適な運用をおこなうのは容易ではありません。

配信の反響を見ながら微調整をおこなえる高いコントロール性はリスティング広告の良さですが、全体としての正しい運用ができているか見極めることが難しくなる所以ともいえます。

【リスティング広告に必要なノウハウ】

  • 配信の反響を見ながら必要な調整をおこなうための知識と経験
  • 全体として適切な運用ができているかの見極め

デメリット②:無駄なクリックによる費用が発生する

リスティング広告はクリック課金のため、広告がクリックされると費用がかかります。

コンバージョンに繋がらないような関係のないユーザーなどがクリックした際にも費用がかかるため、除外キーワードの設定などの業務を定期的におこなう必要があります。

除外キーワードとは

無駄な費用が発生しないための業務を継続的におこなわなければ費用対効果が下がってしまう点は検索連動型広告のデメリットと言えます。

【リスティング広告の費用を抑える方法】

  • キーワードや配信時間帯を絞って配信する
  • 除外キーワードを設定して無関係なユーザーの流入を防ぐ

SEOのメリット・デメリット

続いてSEOのメリット・デメリットについてそれぞれ解説していきます。

メリット①:クリック費用がかからない

SEOはGoogleに広告費を払って掲載するのではなく、自然検索で上位に掲載されるための施策であるため、クリックされても費用がかかりません。

SEO対策自体には、サイトの改善やコンテンツ追加などが必要であるためリソースは必要ですが、何度クリックされても費用がかからないため、上位掲載されれば高い費用対効果で集客をおこなうことができます。

【補足:SEOの指名キーワードと非指名キーワードを比較】

指名キーワード(商品名など):1位のクリック率が約30%、2位が約10%
非指名キーワード(一般):1位のクリック率が約25%、2位が約10%
→1位掲載されると大きな集客が期待できる。

▼自然検索の掲載順位別キーワード別クリック率
自然検索の掲載順位別キーワード別クリック率の図

出典:Advanced WEB RANKING

メリット②:潜在層にもアピールできる

リスティング広告からの流入はすでにニーズを抱えている顕在層が主ですが、SEOにおいては潜在層がおよそ半数を占めているため、顕在層と潜在層のどちらにもアピールすることができるのはメリットの1つです。

【SEOからの集客】

  • いずれ顧客となるかもしれない潜在層がおよそ半数を占める
  • 潜在層と顕在層のどちらにも訴求できる

デメリット①:効果が出るまで時間がかかる

配信を開始すればすぐに掲載される広告と違い、SEOはウェブサイトを最適化し検索エンジン各社のアルゴリズムに基づいて高く評価されることを目指すものであるため、すぐに効果が出るわけではありません。

キャンペーンやイベントなどすぐに集客をしたいという場合に不向きで、広告のように細かく配信設定をおこなうことはないため、コントロール性も低い傾向があります。

年に2~4回ほどおこなわれる媒体のコアアップデートによって掲載順位が急激に下落してしまう場合があるため、こまめに確認して対策をおこなう必要があります。

広告と同様に一度作成したら終わりではなく、継続的な施策が重要となります。

デメリット②:AI Overviewによる流入の減少

Googleが2024年5月から導入した「AI Overview(AIによる概要)」によって、ユーザーの検索に対してAIが関連するウェブサイトの情報を自動でまとめてページ最上部に表示されるようになりました。

これによりウェブサイトをクリックしなくても知りたかった情報を手に入れられるようになり、ウェブサイトの流入が減少する可能性があります。

実際、2025年4月に発表された調査では、AI Overviewの表示頻度が2024年第3四半期から第4四半期にかけて平均で8.83ポイント増加(33.68%→42.51%)する一方で、情報収集型のクエリで検索上位4位に表示されていたウェブサイトのクリック率は、デスクトップ環境で合計7.31ポイント低下したと報告されています。

Websites ranked in the first four positions for informational queries (containing words such as what, when, where, how, etc.) recorded a combined 7.31 pp loss in CTR on desktop. Simultaneously, the analysis of data from the free AIO tool reveals a significant increase in the prevalence of AI Overviews in Google search results during Q4, rising by an average of 8.83 percentage points (from 33.68% to 42.51%) compared to Q3.

出典:Google CTR Stats – Changes Report for Q4 2024

自然検索のクリック率は強調スニペットなど他の要素によっても左右されるため、上記の数字が一概にAI Overviewの影響だと断言することはできませんが、これからSEO対策をおこなう上でAIOの存在は考慮する必要があります。

情報収集型クエリからユーザーの流入を得る難易度が上がった点は、SEOの新たなデメリットと言えます。

【AI Overviewの影響】

  • ユーザーの検索に対してAIが関連するウェブサイトの情報を自動でまとめてページ最上部に表示される
  • AI Overviewが普及すると同時にウェブサイトのクリック率が減少した

リスティング広告とSEOのターゲット層の違い

リスティング広告とSEOのターゲット層の違いについて解説していきます。

1. リスティング広告は顕在層向け

リスティング広告は、検索エンジン上で「今まさに商品やサービスを探している」ユーザーにアプローチできる広告手法です。

例えば「○○ 比較」や「○○ 購入」といったキーワードで検索しているユーザーは、すでにニーズが明確になっており、情報収集から購入・申し込みに至るまでの検討段階が進んでいる状態です。

リスティング広告はこうした顕在層に向けた即効性のある施策として有効ですが、一方で潜在層のアプローチやブランドの認知を広げたい場合にはあまり適していません。

「今すぐ購入したい」と考えているユーザーを効率よく獲得したい場合にはリスティング広告を活用し、認知拡大を狙う場合は別の施策との併用が効果的です。

2. SEOは潜在層と顕在層の両方

SEOは、顕在層だけでなく、潜在層にもアプローチできる点が大きな特徴です。

例えば「○○とは」「○○ 悩み」「○○ おすすめ」といった検索は課題を整理している段階であり、商品やサービスを具体的に探しているわけではありません。

このような検索ニーズに対応したコンテンツを用意することで、潜在的な見込み顧客にもリーチできます。

リスティング広告のようにキーワードを指定してすぐに上位掲載されるわけではありませんが、「○○ 比較」「○○ 評判」など購入・申し込みを検討している顕在層が使うキーワードでも上位表示されれば、信頼性の高い情報として接点を持つことが可能です。

【リスティング広告とSEOのターゲット比較】

  • リスティング広告:今まさに検討している顕在層に有効で、即効性が高いが、認知拡大には不向き
  • SEO:「○○とは」など潜在層に届けつつ「○○ 比較」などの顕在層キーワードでも信頼性の高い接点を築くことが可能

リスティング広告とSEOの使い分けについて


リスティング広告とSEOをどのように使い分けたらよいのかについて解説していきます。

ポイント①:すぐに集客を強化するならリスティング広告

短期的・長期的な効果のどちらを狙うかによって使い分けることができます。

スポットで集客が必要な場合など、すぐに効果を出したいときは最短即日で配信を開始し集客に繋げることができるリスティング広告が適しています。

SEO対策をおこなっても、必ずしもすぐに上位掲載されるとは限らず、非公開の媒体アルゴリズムに沿って評価がされるのを待つしかないという特性があるためです。

しかし、長期的な集客を目指すためには、継続的なSEO対策によってウェブサイトを上位に掲載することも必要と言えます。

【SEOとリスティング広告の使い分け】

  • すぐに集客をおこないたい場合はリスティング広告
  • 長期的な効果を狙う場合はSEO対策が重要

ポイント②:SEOのコンテンツ強化は会社の資産となる

SEOにおけるコンテンツ強化は、中長期的に見て会社の大きな資産となります。

ユーザーにとって有益な情報を発信し、信頼されるウェブサイトを構築することは、SEOはもちろん、リスティング広告の成果にも直結する重要な要素です。

たとえリスティング広告で流入が増えたとしても、サイトの内容がユーザーの期待に応えていなければ、コンバージョンには繋がらず、広告とコンテンツは切り離せない関係にあります。

近年「AI Overview」など検索結果の変化によりSEOの難易度が高まる中で求められるのは、小手先のテクニックではなく、AIによる要約よりも価値があると感じてもらえる質の高いコンテンツです。

「ユーザーが本当に知りたいことは何か?」という本質に向き合いながらコンテンツを充実させていく姿勢が重要です。

ポイント③:商材の特性も加味して判断する

リスティング広告とSEOのどちらを選ぶべきかは、スピード感だけでなく商材の単価や利益率、認知状況などを総合的に見て判断する必要があります。

例えば、クリック単価:100円、コンバージョン率:1%と仮定すると、1件のコンバージョンを獲得するために必要な広告費は10,000円になります。

商品単価が10,000円未満であれば、広告費が売上を上回ってしまい、リスティング広告では費用対効果が合わない可能性が高くなります。

さらにBtoB商材・新サービス・比較的新しいジャンルの場合は、そもそも検索される頻度が少ないため、自然検索やリスティング広告のどちらも集客が難しいケースもあるので、場合によってはSNSや動画などプッシュ型の施策を組み合わせて認知を広げていく必要があります。

まとめ

本記事で解説した「リスティング広告とSEOの違い」は以下のとおりです。

本記事のまとめ
  • リスティング広告とはキーワードが検索された際に表示させる広告のことでSEOとはウェブサイトの最適化によって自然検索で上位掲載を狙う施策
  • リスティング広告のメリットは配信すれば必ず上位掲載できる即効性、SEOのメリットはクリック料金が不要な点とクリック率の高さ
  • すぐに上位掲載したい場合は即効性が期待できるリスティング広告が適しているが、SEOも併用することがおすすめ
  • SEO対策としてのコンテンツ強化はリスティング広告の効果改善にも繋がる

基本的には「今すぐ集客したい」という場合はリスティング広告、「長期的に資産を築きたい」という場合はSEOが適していると言えますが、併用することで相乗効果を発揮するのが理想的です。

SEOで上位表示を目指すために作成した高品質なコンテンツは、広告配信時の遷移先ページとしても有効に機能し、結果的に広告の成果を高めることにも繋がります。

というわけで今回は以上になります。

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この記事を書いた人中釜 啓太

株式会社ユニアド代表取締役。
大学卒業後プロのミュージシャンを目指して上京するも、思ったより早めに資金が底をつく。その後、広告代理店でWebマーケティングの経験を積み、2015年株式会社ユニアドを創業。
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